足腰が弱い愛犬「体重を減らすように」と言われたら
ハッとする色の葉っぱを見つけながらのお散歩が、とても楽しい今日この頃。午前中は冷えが残るこの時期は、腰や足の不調が出るお子が多く、太り気味の子は、獣医さんから「体重を減らすように」言われるようです。
水分の多い手作りごはんを勧められて・・・と、パリフィ舎へたどり着いてくださったお客様から、「適正体重」についてのご質問がございましたので、シェアさせていただきます。
同じ犬種でも「適正体重」が2倍も違うケースがありますし、ごはんを減らすだけでは、骨や筋肉が減り、もっと腰や関節に負担がかかる結果になってしまうことがございます。
体重計の数値や、巷に溢れる情報という外側に「適正体重」を任せるのではなく、目の前の愛犬が発している情報と向き合うことで、
結果的に「今、ご機嫌に暮らすために、ちょうどいいからだの重さ」でいられることを選択できたらいいなと思います。
犬種による適正体重
犬種による適正体重というのが、よく表示されていますが、最後には、必ず「個体差がありますので云々・・・」と小さく書かれています。
ちなみに、少しピックアップしてみますと、
- チワワ 1~3kg
- ポメラニアン 2~3kg
- マルチーズ 2~3kg
- シーズー 4~8kg
- チン 3.6kg
- 柴犬 7~10kg
- フレンチ・ブルドッグ 8~13kg
- ゴールデン・リトリバー 27~34kg
といった感じで書かれていることが多いです。オイオイ・・・3倍やん!とか、2倍やん!とか、思いますが、この範囲内に入っていたら、とりあえず安心するのが親心でしょうか・・・。
ちなみに、うちの6kgシーズーの2倍はあろうかと思われるチンを知っていますが、とてもスレンダーで筋肉質で、朝晩、近所を元気にお散歩しておられます。
私も過去には、こういう数値を鵜呑みにしておりましたが、経験を積むにつれ、このような情報は、一つの目安であり、最低値を下回っていても、最高値を上回っていても、目の前の愛犬が発している情報に沿って対応していれば、特に問題はないと考えるようになりました。
愛犬を触って感じ取る肥満の兆候
犬種別の体重より15%多いと肥満であるとか、痩せすぎから太りすぎまで5段階(9段階のケースもある)の指標で示される「ボディコンディションスコア」に照らして、4と5(7、8、9のケースもある)は肥満であるなど、肥満を知る一応の目安はあります。
ちなみに「ボディコンディションスコア」には、犬だけでなく、人間や猫、馬や牛や豚など、色々とパターンがあるので、みてみると、面白いです。
さて、「ボディコンディションスコア」で観察するのは、
- 上から見てどうか
- 横から見てどうか
- 肋骨は触れるか
- 首や四肢に脂肪沈殿があるか
などですが、
毎日一緒にいると、上から見てどうとか、横から見てどうとか、よくわからなくないですか?肋骨が触れるか、四肢の脂肪沈殿なんていうのも、これは脂肪が多すぎるなって、どうやって判断するんだろう・・・。
と、結局、獣医さんやトリマーさんなど、たまに会う人の判断に頼ることになってしまうわけです。
しかし、首の脂肪沈殿だけは、私たちにも簡単にわかります。首の後ろ。首と背中の間。ここをつまんだ時に、山ができるようになったら、脂肪が付きすぎです。耳から耳の方につまむのではなく、頭の方向に人差し指、中指、薬指を当て、背中の方向に親指を当て、軽くつまみます。
にょっこり山がつまめたら、脂肪が付きすぎています。つまむまでもなく、見た目で山があるわ。って子は、かなりきています。
我が家のシーズー「恋」(現在15歳 女子)も、7歳の秋に、ぎっくり腰になりました。当時は、7kg代で、首の後ろに3つくらい山がありました。肥満の原因は、毎晩のアイスクリームでした。(おいおい・・・)
それまでは、頻繁に体重計に乗り、犬種としての適性体重範囲内だから安心していたのと、毎月獣医さんに爪切りをしてもらっていたので、目の前の愛犬が発している情報ではなく、獣医さんが体重に関して何も言わないので、よしとしていたのだと思います。
「恋」の腰の痛みが再発しないために、「自分なりの目安」が必要だと痛感し、体重計には乗らず、とりあえず、首の後ろの3個の山が消えるようにしていきました。山は1年をかけて、一山ずつなくなり、今では、何もつまめません。ぎっくり腰は、その後、1回も再発していないです。
同じ体積だと、骨が一番重く、次に筋肉、脂肪の順
愛犬に付きすぎた脂肪を落とそうとして、単に食事量や食事の回数を減らすとか、おやつを与えないようにすると、
本来の目的である「骨や関節、周辺の筋肉などを守る」どころか、脂肪を減らす前に、骨や筋肉が減ってしまう結果になることがあります。
身体を維持するために必要な、必須アミノ酸や脂肪、タンパク質、ビタミン類が食事から入って来ないと、身体は、足りない栄養を、骨や筋肉などから引き出して使い始めます。
その結果、骨がスカスカになったり、筋肉が細くなったりします。当然、関節周辺の組織も脆くなり、足腰の状態は良くなっていきません。体重計に乗った時に、数字が減ったからといって、単純に喜べないのです。
身体は、同じ体積だと、骨が一番重く、次に筋肉、脂肪の順になります。ですので、脂肪を減らそうとする時は、「体重」自体は、少しずつしか減らなくて当然なのだと思って下さい。
太っている子を適正体重にしていく方法の一つ
- 規定量の元気ごはんの素を主食にし、トッピングなしで観察してください。期間は2週間です。
- 2週間経って、体重が少し減ったとか、首の後ろの山が減ってきたなどの結果が出たら、オイルをトッピングに加え、さらに2週間続けます。
- 肉や魚などのトッピングがないことで、ご機嫌が斜めになるようなら、( )の食材の中から選んで、少し足してみてください。(切り干し大根・ほうれん草・大根葉・キャベツ・きのこ・納豆・豆腐・さつまいも・ブロッコリー・卵・レバー・鳥のササミか胸肉・タラ・よもぎ・パセリ・ダンデライオンリーフ )
- おやつをあげていた場合は、回数は同じで、量を減らすか、素材を変更します。(にんじん、大根、りんご、さつまいも、豚モモ肉などに)
- 4週間経って、少しでも結果が出てきたら、肉や魚などのトッピングを少しずつ再開します。体重や首の後ろの山を見ながら、トッピングの量を加減してください。
途中、ウンチ君が固くなったら、ごはんの量が足りませんので、1割増やしてください。ウンチ君が柔らかくなってきたら、1割減らしてください。
経験上、早い子で3ヶ月、遅い子でも1年くらいかけて、骨や筋肉から栄養素を奪うことなく、ゆっくりと余分な脂肪が取れていき、やがて、体重は下げ止まります。
まとめ
足腰、あるいは心臓などで病院にかかって、「体重を減らしましょう」と言われたら、首の後ろ側を、軽くつまんでみてください。軽々とつまめたり、山になっている子は、脂肪を落とすことを考えましょう。(体重ではなく脂肪を落とすのです)
骨や筋肉、内臓は元気なまま、愛犬のご機嫌もいいままで、脂肪だけを減らしていくには、時間と継続的な栄養補給が必要です。発芽直前玄米や、上記( )内の食材などを使って、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素などが豊富な食材をベースにして、少しずつ脂肪を減らしていきましょう。