愛犬に結石が見つかり、オペをした。あるいは経過観察中。の時に、今後の食事についてのご相談をいただくことがございます。

結石には種類があって、種類によっては、ケア方法が真逆になることもございますので、結石の種類を教えていただくことがとても重要です。また、あなたの愛犬にはOKだったケア方法も、石の種類が違う他の犬にはNGとなりますので、助言には注意が必要です。

尿路結石のリスクがある犬種は、ビーグル・ミニチュアシュナウザー・イングリッシュコッカースパニエル・ラサアプソ・ヨークシャーテリア・ミニチュアプードル・シーズー・ビジョンフリーゼ・ダルメシアンと言われています。

ストルバイト結石ができるまで

ストルバイト結晶(砂より小さなキラキラしたもの)は、アルカリ性の尿にできる傾向があると言われていますが、正常な尿にもストルバイト結晶が存在することは多いようです。

尿にストルバイト結晶がちょろっと出ているだけで、「一生、この処方食を食べていないと、大変なことになります」と仰る獣医さんもおられますし、「ストルバイト結晶は出ていますが、大量ではないので、問題ないです」とニッコリ微笑む獣医さんもおられます。

じゃぁ、結晶が大量にあったらどうなるのか。「結晶が大量+膀胱炎」=結石に成長する可能性。そう、結晶が大量にあっても、膀胱炎がなければ、結石はできないんです。

「結晶」だけなら、尿で外へ出て行くだけですが、膀胱炎になった原因の「菌」や、炎症して剥がれた膀胱の「細胞」に、「結晶」がくっつくと、雪だるまさんみたいに大きくなって、「結石」になっていくのです。

ストルバイト結石の治療

結石が、尿道から排出可能な大きさであれば、尿道から外に出す操作を膀胱に行う方法があります。

上記方法で試したけど、出てこなかった場合や、ちょっと尿道から出すのは無理やな・・・な大きさの場合は、処方食を食べて、結石を膀胱内で溶解させます。

この場合、結石が溶けると、膀胱炎になった原因の「菌」が放出されるので、結石が全部なくなって、膀胱炎が完治するまでは、「菌」に対する抗生剤を飲む必要があります。

処方食を食べても、結石の大きさに変化がなく、生活にも支障が出ている場合は、オペになります。

一方、結石があっても、今現在、膀胱炎になっておらず、生活に支障がなければ、オペのリスクや年齢を考慮して、そのままにしておくこともあります。寿命まで、膀胱内に結石を持ったまま、生活していきます。おしっこが出ないとか、お腹が痛そうだなどの症状が出たら、その時に治療をしましょう。という考えです。

ストルバイト結石の予防

ストルバイト結石の予防は、尿のペーハーを測って一喜一憂し、少しでも酸性尿に近づけることではないと、経験上、考えています。なぜなら、体質で、何をしても中性尿の子もいますし、投薬などで酸性尿にしすぎて、酸性尿でできる結石を作る子もいるからです。

大切なのは、ストルバイト結晶や、膀胱炎になる菌を、どんどん尿から排出し、膀胱炎にならないようにすることだと思います。

水分の多い食事をし、穏やかな利尿作用のあるハーブを併用することが予防につながると考えています。

また、膀胱炎を起こす菌は、ありふれた菌で、どこにでもいますので、菌にやられちゃわないように、免疫力を下げない生活も大切です。

「怒れる〜」「悲しい・・・」「怖いよぉ」というような、精神面でのストレスを感じると、免疫を担当している細胞の働きを弱めるホルモンが分泌されます。

愛犬が何に対してイラッとするのか、何をすると悲しむのか、何が怖いのかを知り、なるべくそんな環境にならないように配慮するのも、大切な予防です。

ストルバイト結石にならないための食事

膀胱炎を起こさない食事と考えた方がいいでしょう。粘膜を強化するビタミンAと、免疫力を高めるビタミンCを特に摂取したいです。

あずき・蓮根・大豆・スイカ・梨・桃・柿・レバー・うなぎ・卵・小松菜・かぼちゃ・人参・ブロッコリー・さつまいも・じゃがいも・パセリ・ピーマン などを、おやつさんやトッピングに利用するといいと思います。

シュウ酸カルシウム結石

シュウ酸カルシウム結石ができる原因は、尿中にあるべき物質が不足しているという、遺伝で起きることが多いようです。シュウ酸カルシウム結石は、ストラバイト結石のように、処方食で溶解することができないので、生活に影響を及ぼす場合は、オペ必須となるようです。

オペを受けた約半数の子が、3年以内に新しいシュウ酸カルシウム結石を形成したというデータもありますが、一応、新しいシュウ酸カルシウム結石を予防する食事方法があります。

食事中のカルシウムとシュウ酸の量を最小限にして、尿をアルカリ性にすることが奨励されています。

シュウ酸カルシウム結石を新たに作らないための食事

控える食材:大量の肉・ほうれん草・ブロッコリー・セロリ・緑色の野菜・さつまいも・小麦胚芽・豆腐・昆布・ピーナッツ・乳製品・カルシウムやビタミンCやDのサプリメント(野菜は、茹でこぼしてあれば大丈夫です)

奨励される食材:十分な水分を含んだ穀類・鶏肉・七面鳥・卵・えんどう豆・パスタ・味付け前のポップコーン

その他の結石

  • リン酸カルシウム結石(骨の摂取を制限されます)
  • シスチン結石(ビタミンCや高たんぱく質の摂取を控え、尿をアルカリ性にする治療を受けます)
  • 尿酸塩結石(ダルメシアンに多く、オペしか治療法がありません。理想のpHは7,0です)
  • キサンチン結石(尿酸塩結石予防の投薬を受けている時に起きることが多いです)

まとめ

結石には種類があり、それぞれにケア方法が異なります。ストラバイト結石は酸性尿になることを希望されますが、他の結石ではアルカリ尿や、中性尿になることを希望されます。食べることを奨励される食材も異なりますので、その子の石のタイプに合ったケア方法を取り入れることが重要です。

尿のpHをチェックして一喜一憂するよりは、膀胱炎の予防、免疫力を下げない暮らしを考えてまいりましょう。

オメガ3脂肪酸は、粘膜を強くし、炎症を起こしにくくする力があると言われています。サチャインチオイルサーモンオイル、亜麻仁油なども食事に取り入れるといいと思います。

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