薬とハーブについて

投薬治療中の愛犬に思うところがあって、ハーブを試してみようと思うのですが、薬とハーブを一緒に摂取しても大丈夫でしょうか

 

夏になりますと、もともと心疾患でお薬を飲んでおられたお子の、お咳が続いたり、止まっていたふらつきが再発したりなど、諸症状が出ることが多いようです。

診察をして、お薬の種類が増えたり、お薬を増量しても、あまり改善が見られないお子を心配してのご相談も増えてまいります。

例えば、グレープフルーツジュースと免疫抑制剤・高脂血症治療剤・降圧剤との関係や、納豆・クロレラ・青汁とワーファリンの関係のように、ハーブにも、飲んでいるお薬によっては、そのお薬の効果を増強させたり、逆に阻害する可能性がある種類がございます。

今回は、ハーブの特性と使い方について、医薬品との関係性にも触れて書いてみようと思います。医薬品を使っているお子にハーブを考える時の一助になればと思います。

ハーブと薬

日本では古事記の中でも、植物が薬として大活躍していますし、縄文時代の住居跡からも、植物を薬として扱った痕跡が見つかっています。ネイティブアメリカンも、オーストラリアのアボリジニも、薬として使っていた植物がたくさんあります。

それらはもともと、動物たちが、植物を薬として使っているのを人類が観察して学び得た知識です。動物たちは、自分の健康状態に合わせた特定の薬草を探す能力を持ち、その使用量や副作用についても的確に知っているようです。

暮らしに役立つ自生植物をハーブと呼びますが、天然の植物は、産地の違いやその年の気候などによって、含まれる有効成分の含有量が異なるため、薬効が不安定です。

これらの植物から、目的とする有効成分を見つけ出し、有効成分だけを取り出して、科学的に作ったものが薬です。医薬品は、1箇所で大量に作ることができ、天候などに左右されることもありません。また、効果を上げるために凝縮して作られることがほとんどです。これによって、必要とする有効成分の量を投与しやすく、薬効が確実に期待できるという利点が生まれます。

ゆえに、ある薬を摂取して、何かしらの副反応が出る場合は、その有効成分のみが、身体の中で高まり過ぎ、身体や精神のバランスが取れなくなった結果ではないかと思います。

薬との併用で注意が必要なハーブ

普通に考えても想像できると思いますが、血液を固まらないようにする薬を投薬している時に、血液をサラサラにしたり、血液の循環を良くする力も持っているハーブを一緒に摂取すると、その薬の作用を増強する可能性があります。(カモマイル・フューバーフュー・ジンジャー・ガーリック・イチョウなど)

免疫抑制薬を投薬している時に、免疫力をUPさせる力もあるハーブを一緒に摂取すると、その薬の作用が低減する可能性があります。(エキナセアなど)

血糖値を下げる薬を投薬中に、血糖値を下げる力もあるハーブを一緒に摂取すると、その薬の作用を増強する可能性があります。(ガーリック・ミルクシスルなど)

ただ、有効成分を高濃度で抽出したハーブではなく、自然のままのオーガニックハーブを、他のハーブとミックスさせてドライの状態で少し与える事に、その薬の有効成分を増強したり低減させたりする可能性が一体どれだけあるのか、私は首をひねる者です。(単体のハーブをミックスさせると、有効成分の一部が変化し合い、目的に向かって協力します)

しかしながら、投薬の種類によっては、念のためイチョウとセントジョンズワート(ある種の薬の効能を低減する可能性がある)は、除去するようにはしています。

お薬を投薬しているお子で、ハーブを使いたい場合は、念のため、ご相談ください。状況をお伺いして、該当ハーブを除去したり、量を極力少なくしたりしてお届けしています。

なを、弊社で扱っているドライハーブとしてのイチョウではなく、イチョウ葉エキス(イチョウの葉を乾燥させ、アルコールまたはアセトンを用いてフラボノイドやテルペノイド等の有効成分を抽出したもの)の中には、フェニトインなどの抗てんかん薬の発作予防効果を低下させることがあるようです。

医薬品グレードのイチョウ葉エキスを利用した研究結果ではありますが、てんかんのお薬を投薬中で、このデータを気にされる場合は、イチョウを抜いてお届けしておりますので、ご相談ください。

ハーブの作用

ハーブは、薬よりも効き方が穏やかですが、表層に現れた病んでいる一部分だけを治すのではなく、心も含めた体全体に作用し、本人の治癒力を引き出してくれます。

ですので、お子によっては、早く効く場合と、ゆっくり効く場合がありますし、複数の疾患をお持ちのお子は、案外、あまり懸念していなかった部分から治っていき、一番懸念していた箇所が最後に良くなってくるということも、よく経験します。

5kg以上のお子でも、耳かき1杯程度の単体ハーブの摂取で、飼い主様も私もビックリするくらいの効き目を表すことがありますし、逆に、特定のハーブに何の反応もしないお子もいらっしゃいます。

我が家の愛犬は、ひどい興奮状態に陥った時に、バレリアンという鎮静ハーブのチンキ(アルコールやグリセリンでハーブを抽出した液体)を5滴ほど舐めるだけで、1分以内に速攻で眠りについていたことがあります。他の犬では、同じ犬種で体重も同じくらいでしたが、その子は、倍量与えて50分後にやっと鎮静です。2ワンとも、5回以上、繰り返し同じ結果でしたので、個体差なのだと思います。

まとめ

薬が効かないからとか、薬が増えてしょうがないなどの理由で、ハーブやサプリメントや食材を追加で与えますと、薬の有効成分を増強したり低減したりすることもあるため、ドクターや販売先へご相談されてからの方がいいと思います。

弊社で扱っておりますドライハーブのことでしたら、お気軽にお問い合わせください。愛犬様のQOLを最大限高めるために、精々ハーブを活用していただければと思います。

なんだか、あったりまえのまとめになってしまいましたが・・・最後に、

薬やサプリメントを作る目的のために抽出された有効成分というのは、植物のほんの一部です。植物は数十種類、時には数千種類以上の成分で構成されています。そして、全ての成分と植物全体のエネルギーが相互に作用し合い、恩恵を受けるべき動物が心と身体のバランスを調整する力をバックアップしてくれます。

弊社がナチュラルなオーガニックドライハーブを選択している最大の理由です。

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