暑くなると痒くなる
暑くなり始めると、うちの子、痒くなる〜!で、お悩みの方が多いようで、6月に入りますと、「かゆいの、とんでけっ」が、よく出動するようになります。
クーラーを入れていても掻きむしる愛犬。暑い間は、その痒みをどうにかしてあげたい気満々ですが、季節が涼しくなってまいりますと、痒みも落ち着き、「痒み」の事なんて、犬も人間も、綺麗さっぱり忘れてしまいます。
で、6月の声が聞こえ始めると、まず、本人(本犬)が痒がり始め、それを見て、あ、そうだった。痒くなるんだった・・・。と、人間側も思い出し、どうにかしてあげたいんだけど・・・と思いながら、梅雨と夏に突入していくパターン。
「暑くなると痒くなる」のはなぜか?について、システムを理解し「はっは〜ん。だから、涼しくなると痒みもおさまるのか・・・」と、人間側だけでも、とりあえず一旦、スッキリしておきましょう。
そもそも、痒みは体を守る防衛反応のひとつ
- 皮膚に異物がくっついた
- その刺激と場所を「痒みを伝える神経回路」が、脳に報告
- 脳が「痒い」と知る
- 脳が、掻いたり引っ掻いたりして異物を取り除こう!と号令を出す
- 掻いたり、引っ掻いたりする
- 掻いたり、引っ掻いたりすると「痛みを伝える神経回路」が活性化する
- 「痛みを伝える神経回路」が「痒みを伝える神経回路」を抑制する
- 痒みが治まってくる
体を守る防御反応の一つが「痒み」です。かゆみの刺激を受け取っているのは皮膚ですが、「痒み」は、脳が感じています。その結果、掻いたり、引っ掻いたりして「痛み」を与えると、「痒み」が鎮静化するように体はできています。
暑くなると痒くなるのは、遺伝的な体質
それなのに、掻いても掻いても、全然痒みがおさまらないのは、(ダダンッ!)皮膚の細胞から、炎症を促す様々な物質や「痒みを伝える神経回路」に働きかける物質が、異常に放出されているから〜(チコちゃん風)。
これらの物質は幾つもの種類があり、それぞれに名前がついていますが、覚えにくいので割愛します。
これらの物質が何を感知してどれくらい放出されるのかは、まだ全てが解明されているわけではありません。ただ、遺伝子に書いてあるぞ、という事はわかっているので、これらの物質が異常に放出されるのは、そういう風に遺伝子に書いてある、いわゆる「遺伝的な体質」と考えられます。
関係してくる痒みは以下のタイプです。
- 体が温まると痒くなる
- アトピー性皮膚炎がある
- ストレスを感じると痒くなる
- 接触アレルギーや食物アレルギーで痒くなる
- 虫に刺されると痒みが酷くなる
とりあえずの対処法
こうなってしまった時の、とりあえずの対処法は、「冷やす」「気を紛らわす」です。(えっ?もしもし?)痒がっている箇所に、冷たいタオルやアイスパックを当て、皮膚の下で起きている様々な物質のゴソゴソ(炎症)を、冷やすことで騙す(食い止める)のです。
あるいは、話しかけたりオモチャで気を引いたりして、脳を、痒みではない方向へ向かわせるのも一手です。皮膚から脳、脳から皮膚へという痒いループが途切れて、痒くないよぉと騙せる可能性があります。精神を落ち着かせるハーブや音楽などを使うのもいいかもしれません。
皮膚が赤くなっていたり、虫にかまれたっぽい所を発見したら、ラベンダー水やペパーミント水をその箇所にシュッとしてあげると、抗炎症作用や鎮静、冷やす力が働き、皮膚の炎症が早く治ります。結果として痒みが早く引いて行きます。
抗ヒスタミン薬は効くのか
病院でお薬をもらったけど、全然効かない。というお話もよく聞きます。皮膚には、ヒスタミンを作る細胞が存在していて、その細胞が刺激されると、ヒスタミンを分泌するようにできています。分泌されたヒスタミンが血管に影響を与えると、皮膚が赤くなりますし、神経に影響を与えると、脳が強いかゆみを認識します。
このヒスタミンという物質が関与している痒みなら、抗ヒスタミン剤が効きますが、ヒスタミンが関与していない痒みの場合は、効きません。(だって、痒みを引き起こす様々な物質は、確認できているだけでも、たくさんあるけんね)
天然の抗ヒスタミン作用があるネトル、ジャーマンカモマイル、エキナセア、アイブライト 、イチョウ
、ガーリックなどを与えてみて、痒みや皮膚の赤みが少しでも治まってきたら、痒みの犯人のひとつに、ヒスタミンが作用していると特定できるんじゃないかと思います。
予防
アトピーの子供(人間)が、田舎に引っ越して、その土地で取れた新鮮なタンパク源や、有機食材を食べるようになったら良くなったとか、石垣島に引っ越して、毎日海に入って遊び、手作りのソープを使っていたら良くなったなどの話を聞きます。
ゆったり過ごすことや、農薬や化学物質が口や鼻から入ったり皮膚につかなくなることが、炎症を促す様々な物質や、「痒みを伝える神経回路」に働きかける物質の放出を少なくし、遺伝的な体質を持ったままでも、痒みが酷くなならいのではないかと想像しています。
接触アレルギーは、そのものを特定し(シャンプー剤や消毒剤や洗剤、殺虫剤、ゴム製品やプラ製品、肥料、カーペット用脱臭剤、セメント、特定の金属や繊維、ノミダニの死骸や埃など)触らせないことが予防になります。
食物アレルギーは、陽性のものを特定し、食べないことです。(食物アレルギーに関しては、陽性だった項目が、ある時から陰性になったというご報告を多々いただきます。その逆もあります。)
虫にかまれると、めっちゃ酷くなる場合は、虫にかまれないようにするのがベスト。こういう子は、炎症を促す様々な物質や、「痒みを伝える神経回路」に働きかける物質が異常に放出しすい体質なので、なるべくケミカルでないアイテムで、虫から守るのがいいと思います。
アトピーの性皮膚炎と診断された犬で、必須脂肪酸単独による治療に反応する割合は40%以上に上るというエビデンスもありますので、食事に必須脂肪酸を加えるというのも、いい予防法かもしれません。
まとめ
「暑くなると痒くなる」のは、(ダダンッ!)炎症を促す様々な物質や「痒みを伝える神経回路」に働きかける物質が、異常に放出されるように、遺伝子に書いてあるから〜。
たとえ、遺伝子に書いてあってもだ。そいつらが放出されにくくなるように、食事や環境の管理などを見直して改善してみるとですね。
私の経験では、その年はあんまり結果がついてこず、撃沈の秋がやってきますが、翌年の5月まで、諦めずに、しつこく、しぶとく、続けていくと、翌年の梅雨入り時に「おやっ?」と思います。ほんと。試してみて下さい。