愛犬の手作りごはんにオメガ3脂肪酸

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愛犬が心臓疾患(僧帽弁閉鎖不全症)と診断され、獣医から手作り食を勧められています。オメガ3脂肪酸を与えたいのですが、亜麻仁油、えごま油、サチャインチオイル、魚油、オリーブオイルなど、様々なオイルがあり、どれを選べばいいか迷っています。それぞれの違いを教えて下さい。

先日、このようなご質問をいただきました。春の健康診断で心疾患が判明したり、中医学でも、今の時期は心臓をケアする季節でもあることから、心疾患と食事についてのご相談が増えています。

心疾患やシニアさん、皮膚にトラブルがある場合などに、オメガ3脂肪酸を摂取するといいと言われていますね。

ご質問へお応えするために、どんどこ調べてみましたら、考慮すべきは「オメガ3脂肪酸」だけではないという話になってきまして、「ヘェ〜知らんかった〜」が結構あったので、ここでシェアしたいと思います。手作りごはんにトッピングをするオイルを選ぶ時のご参考になれば幸いです。

オメガ3脂肪酸

脂肪は体内に入ると消化酵素によって「脂肪酸」と、「もういっこ」の、2チームに分けられます。「オメガ3脂肪酸」は「脂肪酸」チームです。この「脂肪酸」の中にも2つチームがあります。

常温で「固体」チームと、常温で「液体」チームです。「オメガ3脂肪酸」は常温で「液体」チームに入っています。

ちなみに、常温で「固体」のチームには、肉の脂身やバター、ココナツオイルなどがあります。素早くエネルギーになり、美味い!という利点がありますが、血液の粘度を高める場合があるので、摂りすぎには注意が必要です。

で、話を戻しますと、常温で「液体」チームの「オメガ3脂肪酸」。主成分の一つが「α-リノレン酸」で、エゴマ油、亜麻仁油などに多く含まれています。他の成分の「EPA・DHA」は、魚油に多く含まれています。

アレルギー性疾患の改善、脳細胞を活性化、血液をサラサラにし、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞・高血圧などの予防に効果があると言われています。また、免疫機能の改善および促進にも働きがあると言われています。

常温で「液体」チームには、他に「オメガ6脂肪酸」「オメガ9脂肪酸」がいます。この内「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」は、体内で作り出すことができないので、食事から摂る必要があります。

オメガ6脂肪酸

「オメガ6脂肪酸」の主成分は「リノール酸」。べに花油、グレープシードオイル、コーン油、大豆油、ゴマ油などに多く含まれています。

血中コテステロール値を下げる働きがあります。こちらも、免疫力を高める効果があります。血液凝固作用があるので、傷の治りが早くなると言われています。

オメガ9脂肪酸

「オメガ9脂肪酸」の主成分は「オレイン酸」。オリーブオイル菜種油などに多く含まれています。

善玉コレステロールを強化し、悪玉コレステロールを減らす役割があり、心臓病の予防にも効果が期待されており、内臓脂肪の蓄積を防ぐとも言われています。

3つの脂肪酸の使い方とバランスが大事

「オメガ3脂肪酸」の主成分「α-リノレン酸」自体は、血液をサラサラにするなどの作用がありますが、とても酸化しやすいという特徴があります。酸化することで反対に消化器官や血液の流れに悪影響を及ぼす物質に変化してしまいます。

ですので、エゴマ油、亜麻仁油、魚油は、光が当たらない場所に置き、熱を加える調理には使用せず、食べる直前に、そのままトッピングするのがベストです。

「オメガ6脂肪酸」の主成分「リノール酸」も酸化しやすいです。「リノール酸」自体は、血中のコレステロールを減らす働きがありますが、過剰に摂取すると、善玉コレステロールまでも減らしてしまい、かえって悪玉コレステロールを増やしてしまうリスクもあります。

べに花油、グレープシードオイル、コーン油、大豆油、ゴマ油 をトッピング用のオイルにするという話は、あまり聞きませんが、これらのオイルを使ったおやつやフードの過剰摂取には気をつけたほうがいいのではないかと思います。

「オメガ9脂肪酸」の主成分「オレイン酸」は、酸化しにくいので加熱調理も大丈夫です。オリーブオイルでパスタや炒め物、菜種油で揚げ物などは理にかなっているわけですね。ソテーしたお肉やお魚が好きなワンちゃんや、唐揚げなどをみんなと一緒にガッツリ食べたいワンちゃんは、こちらのオイルを使うと良さそうです。

まとめ

「オメガ3脂肪酸」の主成分「α-リノレン酸」には、血液をサラサラにする作用があるので、体内で増えすぎると、出血が止まらなくなって傷が治りにくくなったり、逆に「オメガ6脂肪酸」の主成分「リノール酸」が増えすぎると、血液を凝固させる作用が強くなり、血管が詰まりやすくなったりします。

脂肪酸それぞれの性質を知った上で、適切な方法で、バランス良く摂取することが大切なんですね。

ちなみに

サーモンオイル は、「オメガ3脂肪酸」の成分の一つ「EPA・DHA」が豊富で、関節のこわばり、関節のはれや痛みや炎症に効果があるという研究結果が出ています。脳や眼の機能にも影響を与えることから、シニさんあるあるの応援オイルだと思っています。

サチャインチオイルは、「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」と「オメガ9脂肪酸」の比率が理想的で、天然のビタミンEが豊富に含まれているので(亜麻仁油の5倍!)、酸化しにくく、加熱もOKです。ビタミンAの含有量も多いので、皮膚や目のトラブルが多い子にオススメのオイルです。

いずれのオイルも、体重5kgの子で小さじ1/4(1日)が目安。ほんの、ちょっとです。ただ、そのほんのちょっとでも、オイルを使うと下痢をするなど、油分自体が体質に合わない子も実際にいます。

そういう場合は、青魚、ほうれん草クルミレバー、卵など、体内で「オメガ3脂肪酸」や「オメガ6脂肪酸」になってくれる食材を、毎日ほんのちょっと、使うといいと思います。

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